Selection for Unequal Densities of σ70 Promoter-Like Signals in Different Regions of Large Bacterial Genomes
Araceli M Huerta, M. Pilar Francino, Enrique Morett, and Julio Collado-Vi
des
PLoS Genet. 2006 November; 2(11): e185.
バクテリアの転写制御は種の違いによって極めてフレキシブルに変化することが示唆されている。これらは進化していく過程で、転写因子や転写制御領域を変化させ、生存に有利な転写制御ネットワークを構築していったためとも理解できる。しかしながら、どのような進化(あるいは変化)が起こったかということに関する理解はいまだに不十分である。筆者らはこれまでの解析から、大腸菌の転写制御領域の周辺には、-10および-35配列として知られるプロモーター配列と類似した配列が多数集積していることを見出していた(Huerta and Collado-Vides, J. Mol. Biol., 333: 261-278, 2003)。今回の解析では、これを43種のバクテリアゲノムに拡張して解析し、このような集積が大きなゲノムを有する(寄生および共生ではない)バクテリアに限って見出せることを報告している。筆者らは、共生性のバクテリアに限ってはその大規模なゲノム改変とゲノムの縮小化により、プロモーター類似配列の集積が見出せないとしているが、一方で、その他の、独立して生存できるバクテリアでは、転写制御領域にプロモーター類似配列が集積していることをクリアに示している。このような現象の意義として、筆者らは“Cryptic”なプロモーターとの概念を提唱している。これらのプロモーターはプロモーターとして働きうる配列のコレクションとしてゲノム中に維持されており、生育環境に応じた転写ネットワークの再構築に一役かっているのでは?という議論は興味深いものである。実際、筆者らが指摘するように、このような配列が転写の制御に直接かかわっている例も報告されている。これらの概念を念頭において、転写制御領域をもう一度見直すことによって、新たな可能性を見つけることも出来るかもしれない。
投稿者:奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 大島拓